つい最近、探偵業者が行っている、「別れさせ契約」が公序良俗に反して無効かどうかが争われる訴訟が行われました。そして裁判の結果、地裁は「契約は公序良俗違反とはいえない」という判決を下し、訴訟を起こした女性に業者に報酬などを支払うように命じたのです。
これは、別れさせ屋が決して違法な業者ではないこと、依頼人は契約に基づいたお金を支払う必要があることを、あらためて認めさせた裁判となったのです。本件について詳しく説明しましょう。依頼人の女性は、好意を寄せていた男性がいました。そしてその男性の交際相手と思われる女性に対し、調査を依頼をする契約を業者と結んだのです。
その契約内容は、男性工作員が対象の女性と連絡先を交換できれば着手金として90万円、別れるのに成功した場合、報酬としてさらに45万円を支払うといったものでした。業者は、対象の女性の貼り込みや尾行をして、行動パターンを把握。
その後、工作員が最初に声をかけ、それから10日後に偶然を装って再会をしたのです。その後は対象の女性と親密になるよう、電話番号を交換したり、LINEでやりとりをして、デートまでこぎつけたのです。ここまでは順調だったのですが、その後、依頼人が、実際にはこの対象の女性と、好意を寄せている男性が交際していないことに気付いたのです。そして即刻、工作の中止を求めました。
争点となったのは、「対象女性の恋愛感情を弄び、人格的利益の侵害になるかどうか」という点です。しかし今回は、対象の女性が独身で会ったこと、性的な関係を持つ予定はなかったということもありました。最終的には、「実際のその関係が修了するかどうかは対象者の意思となり、業者が別れさせる目的を必ずしも達成できたとはいえない」と判断されたのです。
今回は、あくまで離婚などが絡んでいないこと、そして実際に別れさせるという目的が果たされていないこともあり、契約無効にはならなかったケースです。ただこれが離婚問題にまで発展したり、人格侵害などに及んだ場合は、何ともいえません。やはりケースバイケースであり、別れさせ屋を利用する場合は、それ相応のリスクはあるということですね。